OQTA

大人たちの変化

 

LisanとDiplove

 
この時の私たちはコタンに約1ヶ月滞在し、約3週間かけてワナムラに住む15人の子どもたちの部屋に鳩時計を設置した。
 
そもそも送電がないこのエリアへの設置はかなり大変で、
各家庭で使っているソーラーパネルの電流を変えて接続するものの、
変換の際に電力の消耗が起こることや不安定な通信状況など問題が次々と出てくる。
何度も何度もエンジニアたちが数時間かけて足を運び、
ああでもない、こうでもない、
と議論を繰り返し、試行錯誤をしてどうにか全ての部屋に設置することができた。
私とサビタも、何度も説明や撮影に行くうちに、すっかりワナムラの人たちと打ち解けていった。
 

 
リサンというサッカーが大好きな男の子は、話しかけるといつも恥ずかしそうにもじもじする。
そんなリサンのお父さんは、まるっきり同じ顔なのにタイプは正反対で、いつも笑いながら話しかけてくる。
「近くの公立学校に行ってくれとお願いするけど、子どもたちが絶対にYouMe schoolに行くと言うこと聞かなくて、僕たちは困ってるんだよ」
と笑いながら冗談っぽく言って、こう付け加える。
「君たちがこの村に来るようになって、そして鳩時計が家にやって来て、世界が変わっていくような気がしてワクワクしているのは、子どもたちだけじゃなくて僕たちもだよ!」
 
ディップラブという8歳の男の子のお母さんはこんなことを教えてくれた。
「私は勉強をしてこなかったから自分の名前も書けなかったけど、ディップラブが学校で学んだことを私と一緒に復習してくれて、今では自分の名前を書けるようになったんです。」
ディップラブくんは鳩時計を設置しに行く前日、
「僕たちの家に鳩時計が来るんだよ!僕たちは鳩がなったら、ちゃんといい子にして勉強をするんだ。分かった?」と興奮してお母さんや兄弟たちに鳩時計の説明をしていたそうだ。
「自分の大切な子を応援してくれる人が、遠い世界のどこかに存在なんて。嬉しくて胸がいっぱいになります。」
まだ若い彼女は、笑うと日焼けした目の横にたくさんの皺ができる。
乾燥した肌とは対照的に、細めた目の奥は潤って光っていてきれいだった。
 

 
まだ世界がせまい子どもにとって、親の存在は大きい。
子どもたちが変化する時に、それを親たちが理解し、支えることは重要なことだと思う。
OQTAで届ける1秒の音は、子どもたちだけではなく親たちにも届き、そこにも小さな変化が少しずつ生まれている。
 

>>第0回「OQTA ネパールプロジェクト」

>>第1回「新しい支援のカタチとは?」

>>第2回「雲の上の学校」

>>第3回「はじめての訪問1」

>>第4回「はじめての訪問2」

>>第5回「タナカ」

>>第6回「音を送るということ」

>>第7回「再びコタンへ」

>>第8回「タナカの夢」

>>第9回「変化のはじまり」

>>第10回「ネパールの神様」

>>第11回「What is education?」

>>第12回「Abinash」

  • Instagram